ルヴォワールシリーズ完結編を読みました。
ネタバレしかないので前作までを未読の方はご注意ください。
前作(今出川ルヴォワール)の感想↓
https://mizumint.hatenablog.com/entry/2020/06/05/200104?_ga=2.142674423.336917672.1591353136-446070321.1575485196
あの龍樹落花が死ぬ、ということで一気読みしてしまった。
ページをめくる手が止まらない!
どんでん返しに次ぐどんでん返しに振り回され、彼らが背負ってきた人生や覚悟の重さに殴られ続ける怒涛の1冊。
シリーズのなかでは若干ページ数は少ないものの、読後に襲ってくる心地よい疲れは前作までとは段違い。正直めちゃくちゃ疲れた。
☆どんでん返しとその仕掛けに騙された
回収されたマネキン、20代で亡くなり墓には入っていない母親、なぜか2部屋押さえられた会場、達也の大がかりな準備、後半から証言できない瓶賀さん、医師がそばに控えている状態で現れた黄昏卿、パラレルのように語られ始めた“大和に挑んだ撫子の双竜会”……。
思えば伏線は揃っていた。ん?とはなったけど、双竜会自体がふたつあったとは。
単純だしヒントは多かったけど、騙されてしまった。すげぇ!!!これだからミステリ読むのやめられないんだよ。
☆達也が出会った男の正体と山月について
実は生きていた山風さんかなと思ったんだけど、いくらなんでも30代には見えんだろうと思ったので違うよね。
去り際の「ささめき哉」で山月(=獅子丸)かなと思ったんだけど、達也と並ぶほどの大男という点が引っかかる。獅子丸ってそこまで身長あった気がしないし、達也が抱いた印象からも山月のフリをした大河な気がするんだよな。
そして、龍樹家にいたという山月も大河なのでは?「この人は龍樹家の元龍師だろう」という達也の直感を信じるなら。
大河と対決したときの山月は獅子丸だったのでは?
この対決にあたってふたりの間で何が起きたのかはわからないけど、この一件で大河は龍師をやめた。
だから達也の前に現れた男(大河?)は自分のことを「死んだ」と言ってるのでは。
天親から追われているのは獅子丸の方じゃないかな。
獅子丸と大河、どちらも山月で、影武者が烏有さんなのでは。
これが3人と黄昏卿くらいしか知らないことなのか、天親家や落花は知ってることなのかは知らんけど。
獅子丸と大河はキングレオの方が幸せそうだよな。
そのかわりルヴォの主要キャラ達の人生が気になる。
キングレオ世界の撫子や瓶賀さん、達也はなにをしてるんだろう。論語があんなことになってるけど、ちゃんと幸せになってる?
☆今回の城坂論語
論語と撫子が結ばれるまで長かったな……。
論語の初恋から始まり、その決着で終わる。
なんて美しいんだ。
人を愛することを知った、運命の人に出会えた世界線の論語が幸せになれて本当によかった。
論語と撫子の対決は、黄昏卿に挑まずに終わったからifなのかな……と不安になってしまった。
本当にあのまま論語は消えてしまうのでは、結ばれないまま終わるのでは、そんなの残酷だって思ってしまったんだよ。
キングレオ時空の論語を知ってるからこそ、ルヴォワールの論語は幸せになってほしいんですよ。
だから本当によかった。
大和と論語がお茶をすすりながら会話するシーン、めちゃくちゃ好き。それぞれ白と黒の服を着た、よく似た雰囲気の美青年同士がなにやら怪しげな会話してるって絵になるじゃん。
「どちらを選んでも同じこと」
双竜会はふたつあるし、両方とも根回しは完了してるってことか。
ところで、陽虎って孔子の敵なんですね!?
縁起でもない、と言われたところでついキングレオの論語に思いを馳せてしまった。
当然だがこの世界の論語はパラレルワールドの自分を知らないんだよな。
これでルヴォワールシリーズを完走したわけですが、彼らの解像度がさらに上がる作品があれば教えてほしいです。読みます。