宝塚版RRRこと『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートビーム~)』を見てきたので感想!
いつも通り発言まとめメーカーにひとこと感想を書きなぐってたけど、数が多いし長文になりそうなのでこっちに書いておく。
ちなみに私はRRRの原作勢。宝塚を観るのは初めて🔰(前々から興味はあったんだけどなんとなく手を出せずにいた)
原作のチョイスが大正解すぎる
RRRと宝塚の親和性が高すぎてこれはもう原作のチョイスからして優勝だと思ったね。
宝塚ならではの味付けだと思われる箇所、だいたい「初めて見るけど初めて見た気がしない」でした。インド映画と同じ理論が使われているような気がしてならない。
ビームがデカい虎から登場→ダンスの流れからしてもう優勝だろって思ったね……原作どころかタラクさんの文脈だ……てかヤマドンガの登場シーンっぽかった。
あと他にタラクさんを感じたのは、原作にもあるジェニーとアクタルが社交ダンスするシーン。あのシーン、アクタル(ビーム)は社交ダンスに不慣れな設定だけど演じている方はダンスめちゃウマ……っていう小ネタ(?)がある。宝塚で舞台化したことによりこのシーンも“中の人はダンス上手人”っていう画面外の小ネタまで自然と再現できているという……。
原作にない描写や設定があったり端折った箇所はありつつも、原作のあらゆるところへのリスペクトが感じられてよかった。
「そこ変えたら意味合いが多少変わってこない?」ってシーンが全くなかったわけじゃないけど、舞台としての進行上その方がわかりやすいよねって感じだったな。ネックレスの片割れを渡したのがシータからになってるとか、最後に総督を撃つのがラーマだったりとか。
伝わるかわからんけど、端折り方としてはグレンラガンのTV版→劇場版に近いなって思った。脇役の出番を増やしたり、終盤の展開が微妙に異なってて尺も短くなっているあたりもこう……。
原作にないセリフや展開も初めてRRRに触れる人が理解しやすい改変で、翻訳版というかもうひとつの日本語吹き替え版(?)としても良かった。こういう初見さんに作品の魅力をストレスなく楽しんでもらうための工夫も原作リスペクトのひとつだよなぁと思う。
あと、小道具やセリフ回し、演出等から伝わってくる再現度の高さを見るに絶対本国のスタッフか日本の専門家の監修が入ってるよね、と思いながら見てて、終演後にパンフレットを読んだらその答えが載ってて手ェ叩いて喜んでしまった。
創造神ことラージャマウリ監督の優しさと寛大さが眩しすぎるし、わざわざハイデラバードまで許可を取りに行った脚本・演出スタッフさんの熱意もすごい。
(しかも字幕監修でお馴染みの山田先生が舞台で語りきれなかった原作の世界観・時代背景について、パンフレットで解説してくださっている)
衣装が全部ステキ!
衣装がRRRからショーまで全部可愛すぎる!布をたっぷり使ってるのに柔らかくて踊りやすそうに見える。
ナートゥで着ていたビームのスーツが豪華なのはたぶん宝塚ならではの主役補正かなと思いつつ、原作でも微妙にラーマのスーツの方が着古した物感があり、ラーマ兄貴がビームのために綺麗なのを見繕った説もあるからそこも拾ってくれてたのかもしれない。
わからん。宝塚特有っぽい演出があまりにも本家の演出と親和性高すぎて……。
キービジュアルやクライマックスでビームが着てた黒い衣装(たぶん原作の中盤以降に着てた戦闘服にあたるやつ)と、神ラーマの衣装が特に好きです。
タカラジェンヌの皆さんがとにかく眩しい
しっかりRRRなんだけど、役者さん一人一人の魅力や得意なことを丁寧に見せてるのが伝わってきた。とにかく華がある。
主演やヒロインはオーラの強さと貫禄からしてレベチ。すごかった。
端役やアンサンブル(っていうのかわからんけど)に至るまで全員顔が良いダンスが上手い歌が上手い。
あと、仕草や身長差で登場人物間の性別や年齢の差をしっかり表現されてて、大人の女性だけで構成された舞台だと感じさせない空気感があった。特にビームとマッリの身長差が完全に大人と子どものそれだった。
他の組のことなんもわからんけど、最後のパッションコールを見てRRRを演じてくれたのが星組で良かったなと思った。
宝塚歌劇に対して
最後に、ちょっと真面目な話。
RRRが宝塚で舞台化すると聞いた時は嬉しかった。興味はあったけど手が出せていなかった宝塚。ライビュがあるなら見てみるのも良い機会だな、と思った。
ただ、少し前の不祥事が気がかりだったこともあり、楽しく見られるかどうかは不安だった。それは杞憂で大好きなRRRが原作ということもあり始まる頃にはテンションが上がっていた。ありがとうRRR。
外野から見たらあの時の対応は組織としては悪手というか隠蔽体質だなと思ったし、そういう運営に対してライビュやパンフレット程度とはいえお金を落とすことに抵抗がなかったと言ったら嘘になる。
不祥事の内容もショッキングだし、実際に舞台を見て、あんなに清く正しく美しくを体現しているキラキラした人たちが裏では……って考えたら鬱すぎて無理だと思った。あの件で名前が挙がっていた方々を推してた人たちのメンタルが心配すぎる。どうかご自愛ください。
実際に何があったのか外野の私が正しく知る術はないけど、一人の劇団員が死を選んだのは事実なんですよね。そこまで追い詰めた人間がいること、それを隠そうとした組織であることが悲しいけど、亡くなられた方をはじめとする善良な団員・スタッフもたくさんいるんだろうなと思うとその善性を信じたいと思う。
ちなみに今回の公演は問題の組ではなかったので精神的に辛くはなかったというか、↑のようなノイズが鑑賞中に起きることはなかった。
最後に
ジェイクとジェニーが好きな人は絶対見てくれ。
これから東京公演はじまります!千穐楽はライビュもあるからRRRファンは見よう。