【舞台感想】劇団ドラマティカ 悠久奇譚 を観た

劇団ドラマティカ、フォロワーさんが絶賛していたので観ました。めちゃくちゃ良かった。

観たのは11月14日の大千秋楽。ディレイ配信で視聴。


☆二次元アイドルによる三次元での演劇

アイドルが演じるお芝居を2.5次元舞台で上演……ってなんだ?って感じだが、そうとしか言い表せない作品をお出しされた。

開始5分で観てよかった、と感じた。複数カメラによるスイッチング映像だったので、役者の表情までよく見えた。みんな顔が良い。
定点だと現地のような感覚や小ネタまで見えるだろうが、舞台に馴染みがない私はアップが多くて映画のように見られるスイッチング映像の方が合っていると実感した。

二次元のビジュアルや声優の声に慣れていると別のキャストが三次元で演じる(声優が俳優業もしているとそのままのこともあるが)2.5次元って違和感あるんじゃ? 役者のファンじゃなくても楽しめるのかな? と不安だった私も、ちゃんとキャラとして認識できた。

声に違和感がなかったのがいちばん驚いた。歌声のクセも声優に寄せてるのかな? 2時間の舞台を殺陣ありでこなしつつ、歌まで完璧に歌い上げるとか役者さんたちマジですごいな……。体力おばけだ……。

すごい。実在している。二次元のアイドル達が三次元の世界でお芝居をしている。
カーテンコールで役者さんたちの挨拶があったものの、それまでは一貫して「アイドルが役者として西遊記を演じている」とされていて、不思議な感覚だった。

そもそも自分は2.5舞台をあんまり見たことがない(そもそも興味はあるものの舞台自体敷居高く感じてあんまり手が出せていない)ので、このドラマティカが2.5舞台好きの方々からどう評価されているのかよくわからない。無知で申し訳ない。
でも、キャラクターが役者として演じる舞台を現実の役者が演じるという試みはあまりないのではないだろうか。
少なくとも自分にとっては、ひとつの舞台作品としてもあんスタのコンテンツのひとつとしてもめちゃくちゃ楽しめた。おもしろかった。
まだ1回見ただけなので、配信期間が終わる前におかわりしたい。


☆これが劇団ドラマティカ……

原作になった西遊記をふんわりと概要でしか知らなかったんですが、それでも濃いというか、アイドルに合わせて大胆に当て書きされてるなって感じた。

演出、台詞回し、至るところに日々樹渉が主宰の演劇サークルが作り上げた舞台なんだなと感じさせられる。
それぞれのアイドルの良さを活かしたキャラ付け、そして大衆ウケするであろう軽いノリ……すごい……これが日々樹渉による演劇の世界……。


☆各アイドル演じるキャラクターについて

あの氷鷹北斗が荒々しい孫悟空を演じているの、あぁ〜お芝居なんだなぁってにっこりした。最初は役柄と普段のギャップに驚きつつも、終盤の熱い展開は北斗らしいなと感じた。
言うこときかない猿のお守りをして役作りをしたのが、この孫悟空……。なんかめちゃくちゃ納得した。
てか顔が良い肌が白い。アップになる度まじまじと見てしまう。

日々樹渉については、そこにいるとしか言いようがなかった。あれは日々樹渉だった。
なんなら日々樹渉が演じる三蔵法師ではなく、三蔵法師として生まれた日々樹渉だった。
渉のお芝居は憑依型ではなく、与えられた役柄をとことん自分のモノにしてしまうタイプなのだろうか。

凪砂演じる玉龍も、閣下らしい強者感とおとなしめの素の部分、両方活かしたキャスティングだなぁと感じた。最後むりやりラスボスみたいに振る舞わされていたのも、そういうことなのかな……。
その一方でほっこりするシーン(火の玉投げあったり馬扱いされたり)(馬扱いされるのはしゃーない)もあってかわいかった。

夏目の沙悟浄、ラッパーになったり河童たちのボスになったりやりたい放題で笑った。
腰巻が長めだから、遠目から見ると髪型もあってかすごく中性的に見える。良い衣装だな、似合ってる。
喋り方がめちゃくちゃ夏目だった。声聞いてると頭の中でいつものフォントやカタカナが出てくる。
金角もやってたのびっくりした。たぶん上着だけ簡単に着脱できるようになってるんだろうな。

宗が猪八戒!?ってスカウトストの時点でびっくりした。言動にすごく斎宮宗を感じる。
それでいて、ちゃんと役に入りこんでいるのがわかる。
こちらも銀角との兼役で、それぞれで振る舞いが全然違うのがわかる。ついでにいうと最後に挨拶した役者さんも全然違う雰囲気でびっくりした。
髪が伸びてたけど、あれはいつものショートヘアにエクステを取り付けてるのかな。
ヘアアレンジも、緑とオレンジを基調とした衣装もValkyrieとは違ってて新鮮に映った。


☆終盤の展開、めちゃくちゃあんさんぶるだった

楽しい旅を終わらせたくないから、輪廻転生(ループ)を利用してまた始めよう……うわ、あんさんぶるって感じの狂気!!! 好きだ……。そんなこと言い出す三蔵法師を渉が演じてるってのがもうさぁ……。
ちゃんと序盤から伏線も張られていて、意外性があるのに唐突でもなくて。

これ、メタ的な舞台演劇ともかけてるんかな?
同じ演目を数日間に渡って何回も演じる。その度にアドリブやハプニングが起こり、ひとつとして同じ舞台はない。
公演の回数だけ三蔵法師の旅は繰り返される。
他の公演は見てないけど、アドリブで大きく違う部分もあるんだろうか。まさかな。

終わらないループから師匠を救うため、旅の記憶を本能に刻み込んで、ついに三蔵を救う旅を始めた孫悟空……そんな力強くて希望のある終わり方がまた気持ちよかった。北斗が孫悟空でよかった。


☆次も気になる

上演が決まったAct2は、嵐ちゃんとレオくんが参戦するのか。こちらも楽しみだな……。今度はどんな作品をアイドル達が演じるのか、楽しみにしている。
今回は裏方に徹した友也くんが参加する作品も増えたら嬉しいな。
劇団ドラマティカ、本当に良かった。おもしろかったです!