『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』を読んだ

「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」

もうタイトルがパワーワードすぎる。
表紙も可愛くてジャケ買いしてしまった。

なんだこのタイトル!?と思ったけど、読んでみたらたしかに「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」としか言い表せない内容だった。
当たり前になっているトランスヒューマン(生物学から解き放たれた超人類)と繰り返し登場するガンマ線バースト

帯にもある通り、6つの童話をハードSFとして改変した短編集。
「おまえらこのくらい知ってるんだろうな?」と言わんばかりのカタカナと横文字に溢れた世界観で名作童話をなぞる。
SFの知識がないと「なんのこっちゃ」になることうけあい。SFネタがピンとこなくても、メルヘンな童話に当たり前のように出てくるカタカナのオンパレードのシュールさに笑える。
合う人にはとことん合う作品だと思う。

各童話はすべて同じ世界で、とあるガンマ線バーストにより打撃を受けて宇宙が変わったことが、最終話「アリとキリギリス」で語られる。

個人的に好きなのは「竹取戦記」。翁がめちゃくちゃカッコイイのでオススメ。
あと、「スノーホワイト/ホワイトアウト」の終わり方もゾッとして好きだな。(こういう破滅エンドが性癖)
あとは〈魔女〉も好きなキャラです。

同じ大災害を受けても、ハッピーエンドだったりバッドエンドだったりメリバっぽいほろ苦い終わり方だったりする。
ガンマ線バースト前の話から始まり、バースト後の宇宙を描いたかと思えば、またバースト前の話に戻って全てが収束する……すごくおもしろかった。