『美少年シリーズ』を読んだ

おもしろかったので全部揃えて一気に読みました。

最初の3巻の感想↓
https://mizumint.hatenablog.com/entry/2021/01/09/221311

ジュブナイル的な良さと、ブッ飛んでてコミカルなのに「そういうもんか」と思わせられるスピード感とシビアでシリアスなテーマのバランスと緩急が心地よい。
薄くてサクサク読めるのに、キャラや世界観がこってりしてて満足感がすごい。
ただ、本筋だけ綺麗に終わらせたって感じなので、ぶっちゃけ物足りない。スピンオフないの?

1冊1冊丁寧に解説するつもりはないので、とりあえず思ったことワーッと書きます。


☆マユミちゃんについて

マジで視力を失うとは思わなかった。
自分の意思で失うタイミングを決めたの、すげーかっこいいなと思ったけどそう思うなってマユミちゃんが言ってた。愚行だけどそれはそれで美しいのだ。

最終巻の10年後で、あんなふうに夢が叶うの「ウソだろ!?」と思ったけど、あの世界観ならありえる……と納得してしまった。
ブラックホールの探索って何? まさか中に入るの???

自分のことをクズだとか言ってるけど、あらゆることに自分を勘定に入れないあたりに彼女の自己評価の低さと善性が垣間見える。

作中のほぼ全員とフラグ立ってるようなもんだけど、恋愛や性愛にならないのは自分をそのへんの勘定からも外しているからなんだろうか。
愛されたいというよりも、認められたい、許してほしいって気持ちが強そうだし。
探偵団のメンバーやライくんとのやり取りは「え、これでロマンス始まらないの?」と思いつつも始まらないからサイコーなんだよな……とわかったような顔でうなずいている。

長縄さんとの友情百合展開、ありがとうございました。生徒会室でバニーガール撮影会をしたときの写真がめちゃくちゃ気になる。なんかすげーいかがわしいんだが!?!?!?


☆団長について

世界でいちばん美しいよ……。
自主制作映画や応援演説でうるっときてしまった。
こういうところが人望あるんだろうな……。
小五郎……一生ついていくぜ……。

落下しかけた人間をぎゅって抱きとめたり、ハグしたりと、小学生らしい無邪気なボディタッチと愛情表現に幼さを感じてほほえましくなってしまう。

マユミちゃんにお顔もちもちされてるシーン、なんかいけないことしてるみたいでこっちがハラハラした。マユミちゃんだから許したのはわかるんだけど、マジであっさり許可したからおじさん心配だよぉ……。

兄の踊さんは、団長のありえたかもしれない未来の姿で、本人もああなるんだろうってある程度覚悟してるところにウッとなった。
肝心なところでまっとうな発言をするのも、中学生を従えていられるのも、心のどこかでそういった兄を見てきて育まれた大人びたところがあるんだろうな……。
まだ小学生で、無邪気に探偵活動をしているように見えて、ある程度現実が見えているし、だからこそ美しくありたいっていうなんかそういう生き方がカッコイイんだよな。

初対面のマユミちゃんが、彼の年齢を読めなかったのも、「中等部に小学生がいるはずない」という先入観と彼の奇人っぷりから……とは限らないのかもしれない。女装すらこなす中性的な美貌と、無邪気な子どもらしさと、中学生達から人望を得られる程度には大人びた精神性、これらが作り出す雰囲気が年齢を読めなくしていたのでは、という気がしている。

ところで、初等部が中等部と同じく成績でクラス分けしていたのだとすると、A組の団長は学年内では優秀な方となるんだろうけど、そのへんどうなんだろう。
学がないと言いきったとおり、言葉の誤用や中学生なら知っている程度の知識がないとおり、学力自体は小学生レベルなんだろうけど、その一方で話し方や語彙自体の豊富さに、育ちの良さを感じさせるんだよな。
このへんもお兄さんの影響なんだろうか。まさかとは思うが、あの喋り方は全盛期の兄からうつったものだったりとか……。

団長の10年後を詳しく描写せず、「たぶん10年前とあんまり変わらないんじゃない?」程度の見解を書くに留めたの、すげー信頼しかない。
「いずれ大人になる」と兄を見て漠然と思っていた彼が、仲間共々“卒業”しそこねたせいで(?)今も変わらず少年の心を持っているだろうとだけ言及されて終わったの、すごく美しいと思わない???

女装姿をめちゃくちゃ拝みたいのでアニメスタッフの皆様はぜひ気合い入れて作画してください。楽しみすぎる。


ロリコン先輩について

アニメ化が決まっていることもあり、ずーっと「この人の声優は誰になるんだろう……」と悶々としていた。なぜかめが兄ぃみたいな声(諏訪部さん)で脳内再生された。

銀髪の何かが変なハイスペックお兄さんが好きなので、初見時に直感で好みだと思った。長髪男子が好きなのでキャラデザも好き。
外見も行動も美青年!って感じの人だけど、でもこの人はまぎれもなく少年なんだよなぁって読み進める度に実感する。
先輩や幼なじみのお兄さんとしてではなく、ひとりの団員として小学生の団長を慕っているという、外部の大人から見たらよくわからない部分があるあたりに、「子どもたちしかわからない」という少年さを感じるんだよな。

変わってしまった後の踊さんと接してるときのナガヒロを見て、大人びた彼もやっぱりまだ子どもなんだなぁと思わざるを得なかった。
憧れているのは「美談のオドル」で、今の踊さんではないんだよな。
悪いオタクだから嫌な妄想をするんですけど、ナガヒロが団長を慕ってる理由は、全盛期の踊さんの面影があるからとかだったら闇じゃないですか?
あのロリコンのメンタルがそこまで不健全だとは思わないけど……。

探偵団の創立メンバーが踊さんとナガヒロなのはたぶん確定として、それ以外の創立メンバーは誰だったんだろう。マナブはいたのかな。

マジであの悪魔とゴールインしたんだ!?
10年後、ロリコンは25歳で彼女は17歳(16歳?)でしょ。親公認というか親が決めた結婚だから合法だけど、15歳と7歳とはまた違った犯罪臭がする。おい。
いろいろあったらしいので、ただの政略結婚ではないのか……?
川池家の建て直しはナガヒロが協力したっぽいし……。
中学生の時は保護者として接していた、ってことなので、妻として迎えるにあたって二人の間にどんな変化があったのか気になる。


☆生足くんについて

毎回思ってたけど、キナコさんのイラストがめちゃくちゃ眩しすぎて、「学校中の女子がこぞって黒ストを履きはじめた」というエピソードへの説得力がすごすぎる。
キャラデザが天才でしょ。
ショートパンツから伸びる脚のラインの美しさもさることながら、ハネた金髪が野性的なイメージと外国の子どものようなかわいらしさを両立させててまさに天使長だし、したまつげが長いのも美少年ポイントが高い。

探偵団のなかでいちばん男子中学生らしい子だなぁと思う。愛らしい見た目に反してサバサバしてるあたりもすごく好き。
生足くんみたいなタイプは上級生のお姉様から可愛がられてもおかしくないので、学校でファンクラブとかできてもおかしくなさそうだけど、そういうタイプでもないのがまたおもしろい。

オープンスケベなのに自分が美しすぎて女子が自発的に黒スト履きはじめるって、皮肉といっていいのかなんなのか。

ショートパンツと生足へのこだわりがすごすぎて、大人になってからはモデルの道に進むってのがおもしろすぎて笑ってしまった。ここまで一貫してるのすげーよ。
美脚をさらけ出すことに抵抗がないタイプの美形なのでそりゃ天職だな……。

マユミちゃんとフラグが立ちそうで立たない。
立ってもへし折られてるのか……?

胎教学園で「自分と同じくらい足が速い子なんていっぱいいた」みたいなこと言ってたけど、琵琶湖を泳いで渡れるようなバカ体力を持つ中学生がそんなにゴロゴロいてたまるか。


☆不良くんについて

マユミちゃんとの悪友感が好きって何度でも言う。
この2人、恋愛に発展しないのがめちゃくちゃいいんだよな。

「高等部には進まないかも」ってさらっと言ってたし、胎教学園からの凱旋にも時間かかったようなので、元々外部の学校に進んでやりたかったことがあるんじゃないのか?と睨んでるんだけど、それがなんなのか見当がつかない……。
番長関係なのか料理関係なのか、別のなにかなのか。

スカジャンが似合いすぎて「これだよ!」と叫びそうになった。学ラン姿も見たかったな……。

彼が授業には出るタイプの不良なの、もしかして特待生だからって可能性はない?
食べ物で苦労してたみたいだし警察に知り合いが居るってことはお育ちがあんまりよろしくないのは想像つくけど、それでも勉強はちゃんとしてるのは、特待生だからなのでは……と思った。
授業に出て成績を維持しないと、学費免除or支給がなくなるからとか……?
お金持ちの子女もそれなりにいる私立中学で不良っていうと、いいとこの坊ちゃんがグレたのかなぁと予想したんだけど、苦労人かつ授業はちゃんと出てるってなると、お育ち悪かった子が更生しつつあるって方がしっくりくる。

現在進行形で番長やってるのも、必要悪としてなんじゃないかな〜という気がする。髪飾中学との無駄な抗争を防ぐのはもちろん、生徒会と対立することで美少年探偵団の存在を隠すことにも一役買ってそう。

守秘義務が課せられる依頼人としても、対立してるはずの生徒会長と番長が怪しげな探偵団のメンバーだと知ったらいろんな意味で恐ろしくて口外したくなくなるだろうし。


☆天才児くんについて

最終巻で出血大サービスか?ってくらい多弁になったな。キェアアアェェェェアアアシャベッタァァァァどころではない。

てか「まゆ」呼びで一人称俺って。かわいいにもほどがある。

なんとなく小柄なイメージがあったんだけど、立ち絵を見ると生足くんと同じくらいかつ団長やマユミよりも高いので、中1男子としては少なくとも平均はありそう。160cmあるかないかってところか?

他にもなんかいろいろ言いたいことがあった気がするんだけど、「マユミのヌードを描いた」「倒れたマユミの世話(体を拭いたり排泄の処理をする)を嫌がらずにした」のふたつで全部もっていかれた。
なんなんだ君たち。芸術家と素材という関係性(どんな関係性だよ)ってそこまでするの???年頃の男女だという自覚ある?????
こっちが心配になってくるんだが!?!?!?


☆札槻くんについて

もっと彼の活躍が見たかった!
というかもっと対立する子だと思ってたし、性格悪いのかなとも思った。
髪飾中学の退廃を「手遅れだ」と評し、マユミに託してきたのは激アツ。
相手がマユミだったからなのかな?
明らかに彼女に甘いよね。

制服をバニーガールにしたりなんなんだお前は。
そら生徒会長向いてないわ。
カリスマ性と商才はあるんだろうけど……。

チンピラ別嬪隊の詳しいメンバー構成や活動内容が知りたい。スピンオフないの?


☆こんなスピンオフが読みたい!

・川池家の事情(アーチェリーの生徒会長も川池さんだったけど、悪魔の実姉とかではないよね……あの子に姉がいたら、ナガヒロに嫁がされるのは歳が近い姉の方だと思うし……)

・美談のオドルの全盛期(これを語らないからシリーズがグダらなかったんだろうけど、それはそれとして読みたい)

・チンピラ別嬪隊(札槻くんの活動はわかったけど、その配下が普段何してるのかが知りたい)

・トゥエンティーズ(探偵団との全面対決がもっと見たかったけど、最終決戦で力を貸してくれるライバル枠だと思えばあれでよかった)

・ミチルが指輪学園に帰還するまでの物語(彼だけ時間がかかったらしいので)

・団長が中1の時の話(マユミちゃんがなにやら暴走してそうだったのでめちゃくちゃ気になって仕方がない)


胎教委員会のヤバさとか、ウワッってなるポイントもあったんだけど、シリーズを一気読みしたばかりで真面目な感想文を書く気になれない。
言いたいこと言ったからこれでおわりにします。
アニメ楽しみだなぁ〜!!!